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    ありふれた日常

    買い替えどき  

    このところ、物を買い替えることが多くて、
    それなりに出費も嵩むのが、辛いところです。

    特に最近の電化製品は、複雑になってるようで、
    保証期間を過ぎていると、品物や状態によっては、
    修理費用がかなり割高だったりして、
    今後のこと(また壊れたり)を考えると、
    買い替えという選択をすることが多い我が家。

    予想外に早く壊れるものもあれば、
    いつ壊れてもおかしくないほど、長く使っていたものもあって、
    それがここへ来て、次々に寿命を迎え始めているという感じです。

    最近買い替えたものの中で、我が家で最年長の家電が、電子レンジでした。
    結婚する前から使っていたもので、製造は平成2年。
    まだ壊れてはいなかったのですが、
    液晶のパネルが、ちょっと煤けたようになってきていて、
    そのうち火を噴くんじゃない? なんて怖いことを想像したりして、
    四半世紀の労働から、ようやくリタイアとなりました。

    当時としては、画期的な製品で、今は当たり前となっている多機能の先駆け、
    パンやケーキなども、自分でこねや発酵もしてくれて、
    本当によく働く、良い子でした。
    新しい子が来て、運ばれて行くときは、ちょっと切なかったです。

    で、新しく来た子は、某売れ筋人気で上位に君臨するタイプ。
    とりあえず、いろんな機能を備えていれば便利だろうと、
    高機能なタイプを選んではみたものの…

    使い方が分からん!!

    ま、そのうちに慣れるでしょ、とあれから半年以上。
    今現在、ほとんど使うのは温めとか、温めとか、解凍とか、温めとか…

    せっかくの多機能の意味が、まるでなし。
    でもま、そのうち慣れれば、いろいろと使うようになるかもしれないし。
    ならないかもしれないし。

    たぶん、ならないだろうな~。

    温めと解凍のみの、シンプルな機能の電子レンジで良かったのかも。
    そうして今日も、温め作業にいそしむ、我が家の電子レンジなのでした。



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    category: 日常

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    インナーペアレント ~第3章~  

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    ************
    あらすじ

    ご近所で離婚された一組のご夫婦。
    原因はご主人のモラルハラスメントでした。
    幼少期、自分が親から受けた仕打ちは、
    大人になって『虐待の連鎖』として現れます。
    それを断ち切るためには、自分を支配する親の虚像
    『インナーペアレント』の呪縛から解き放たれるしかなく…

    ************

    インナーペアレント ~第3章~

     藤田さんのご実家では、幸せな結婚生活を送っているとばかり思っていた長女からの唐突なカミングアウトによって、にわかには信じられないその内容に、誰もが混乱していました。

     彼女が実家の家族に見せたのは、自身が撮り溜め、見る人が分かりやすいように編集した動画や音声でした。その中には、百合原さんと私が訪問した日のものもあり、その変貌ぶりが顕著に分かります。

    「これ、ホントにお義兄さん…?」

    「まるで、別人みたいな変わりようだよね。人間って、人によってこんなに態度が変われるものなの?」

     思わずそう言ったのは、藤田さんの妹夫婦でした。

     いつも穏やかで、優しい印象しかなかった義兄の変貌もそうですが、幼い頃から姉本来の明るい性格を見てきただけに、藤田さんの痛め付けられ、憔悴しきった様子には、驚きを隠せません。

     中でも、その人柄に全幅の信頼を寄せていた娘婿に、すっかり騙された形の母親は、自分の認識とのギャップに、現実を受け止めきれない様子で、藤田さんを問い詰めるように尋ねるばかり。

     逆に、可愛い我が娘が、これほど辛い目に遭わされていたことに、腸をえぐられるような思いの父親は、『一言、娘婿に物申す』と怒り心頭でしたが、一先ずぐっと堪えるように言う藤田さんの言葉に従うことに。

     当初は、離婚するか、このまま結婚を継続するかを迷っていた藤田さんでしたが、冷静になるにつれ、到底この人と生涯を共にすることは無理という結論に達し、離婚の決意を固めていました。

     それを踏まえた上で、この先、実家家族の協力が必要になる場面は必ず出て来ますから、感情に任せて独断で行動されるのは非常に困ります。

     何しろ、全員がコロッと騙されたほど、表と裏で真逆の顔を使い分ける達人。安易に接触して話を聞こうものなら、口八丁であちらのペースに乗せられ、『ああ、なるほど、そういうことだったのか~。それなら、あなたの言い分が正しいよね~』などと、洗脳されかねません。

     自分の本性がバレたと知れば、自己保身のためには、それこそ全力で巻き返そうと、何を置いても、藤田さんの周囲の人間を取り込む手段に出るでしょうから。

    「でも、どうしてこんなことされて、ずっと我慢してたの? もっと早く言ってくれれば良かったのに」

    「そうだよ。お義姉さんらしくないよね?」

    「私も、言いたかったよ。でも、言えなかった…」

     裏では際限なく罵声を浴びせ、人格を否定し、表の顔で周囲の人たちとの信頼関係を築き、孤立感を深めるように仕向けられれば、人はどうなるか。

     事実、藤田さんの実家でも、誰一人、ご主人の裏の顔に気づくことはなく、まんまとその術中に嵌り、今この瞬間まで、彼女の心の叫びが届くことはありませんでした。

     経験のない人には、なかなか理解されにくいモラルハラスメントの被害者が陥る心理状況を、予め、私たちと一緒に考えて準備しておいた内容で、先ほどの映像を交えながら、両親と妹夫婦に説明した藤田さん。

     すぐには理解してもらうのは難しいだろうと覚悟していたのですが、思った以上に、実際の映像や音声には説得力があり、そうした状況に想像を馳せたとき、我が娘の身に降り懸かった、あまりにも理不尽な仕打ちに、両親は目を潤ませ、妹夫婦も怒りが込み上げます。



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    category: 作品紹介

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    インナーペアレント ~第2章~  

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    あらすじ

    ご近所で離婚された一組のご夫婦。原因はご主人のモラルハラスメントでした。
    幼少期、自分が親から受けた仕打ちは、大人になって『虐待の連鎖』として現れます。
    それを断ち切るためには、自分を支配する親の虚像
    『インナーペアレント』の呪縛から解き放たれるしかなく…


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    インナーペアレント ~第2章~


     藤田さんのご主人のモラルハラスメントは、相変わらず続いていましたが、それを客観的に受け止められるようになったことで、藤田さんの情緒は安定して来ました。

     当初、完全に支配下に置かれていた状態で、すっかり自信を喪失していた藤田さんでしたが、私たちとの対話の中で、いつの間にか見失っていた本来の自分を、少しずつ取り戻し始めました。

     まず手始めは、ご主人が藤田さんを傷つけるようなことを言ったら、それをオウム返しにすることから始めた対抗策。それ以前には、

    「おまえって、ホント馬鹿じゃないの? もしかして、本物の馬鹿なの?」

    「今度からは気を付けるね」

    「そう言って、毎回毎回毎回毎回、同じことを繰り返すんだよ、おまえは!」

    「ごめんなさい! 次はミスしないようにするから…」

    「じゃあ、どうやってやるのか、言葉で説明してみろよ! ほら!」

    「それは…」

    「ほーら、やっぱ口ばっかりなんだよ、おまえはさ!」

    「ごめんなさい…」

    「ごめんなさい以外に、言う言葉はないの? 俺が何でこんなに怒るか分かる? 全部おまえのために言ってやってるんだろ? それに対して、何か言うことはないわけ?」

    「ありがとうございます…」

    「何それ? 全然気持ちが入ってないんですけど? そんなんだから、おまえは人間的に成長もしなければ、他人からも嫌われるんだよ! 自分で気が付かない? 存在価値もないような人間と一緒にいる人の身になったことある? どうなの?」

    「すみません…」

    「ま、どーせ何言ったって、おまえみたいなクズには、理解出来ないだろうから、時間の無駄か。無駄にされた俺の大事な時間、返して欲しいよな~」

    「…」

    「何ボケっとしてるんだよ? 気利かせて、お茶くらい淹れろよ! ったく、正真正銘、何の取り柄もない女だな!」

    「すぐに、淹れます!」

    「もういい! 完全に飲む気なくなったわ」

    「ごめんなさい…」

     と、こんなやり取りがされていたのですが、最近では、

    「おまえさ、何回同じこと言われたら、ちゃんと出来るんだよ? 何度も何度も同じ失敗ばかり繰り返して、学習も出来ないなら、人間としての価値もないだろ? マジ馬鹿なの?」

    「そうかも知れないわね~。私、マジで馬鹿なのかも」

    「馬鹿っていう自覚があるなら、直そうと思わないわけ? それこそ、人として成長することさえ放棄してるとしか思えないね」

    「あなたがそう思うのなら、そうなのかもね~」

     と、まるで、他人事ような返答。

     それに対して、面白くないのがご主人。モラハラの好物は、ターゲットの困惑する様子や、苦悶に歪む表情。なのに、どんなに攻撃しても、反応が希薄で、手応えが感じられなくなったのです。

     これまで、完全に受け身一辺倒で、一杯一杯だった状況から、相手の様子を観察する余裕が生まれたことで、藤田さんの反応に対し、ご主人が動揺している様子が分かるようになってきました。

     すると、毎日毎日、ご主人の顔色ばかり気にして、いつ彼が怒りだすのか、ビクビクして過ごすのが当たり前だったことが、いかにバカバカしいことだったかに気付き、これまで藤田さんを雁字搦めにしていたご主人の束縛は、綻び始めたのです。

     そして、次のステップ。暴言や人格否定で罵倒し、一方的に要望ばかりを押し付けるご主人に、藤田さんのささやかな反撃が始まります。



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    インナーペアレント ~第1章~  

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    あらすじ

    ご近所で離婚された一組のご夫婦。
    原因はご主人のモラルハラスメントでした。
    幼少期、自分が親から受けた仕打ちは、
    大人になって『虐待の連鎖』として現れます。
    それを断ち切るためには、自分を支配する親の虚像
    『インナーペアレント』の呪縛から解き放たれるしかなく…

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    インナーペアレント ~第1章~

     ご近所でも、非常に家庭円満に見えていた藤田さんご夫婦が、離婚されることになりました。原因は、ご主人のモラルハラスメント。

     真相を知らなければ、とても温厚な人柄で、奥さん想いなご主人で通っていただけに、その裏の顔は誰もが『えっ!?』と驚くほどの、いわゆる『モラハラ夫』。

     そして、この類の人間は、裏と表の顔の使い分けが巧みで、その本性を炙り出すのがなかなか困難なのも事実です。

     藤田さんご夫妻がこの街に転入されたのは5年ほど前。交際中はとても優しい人だったのに、結婚して急変し、どんどんエスカレートしていったという、典型的なケースでした。

     ご多聞に漏れず、奥さんは『彼が怒るのは、自分に落ち度があったからなんだ』と反省し、次からは怒らせないように気を付けたり、色々工夫したりする、とても真面目な性格でした。

     ですが、ご主人の怒りのスイッチが入るのは、常に同じではなく、たとえば、お風呂を沸かせば『聞きもしないで、勝手に沸かすな』と腹を立て、翌日、沸かして良いか尋ねると『そんなことも聞かないと分からないのか』と罵倒され、じゃあいったいどうすれば良いのか尋ねると『それくらい自分で考えろ』とまた怒り。

     先回りして、なるべく怒らせないように気を付けていても、その時の虫の居所によっては、不可抗力でしかないような状況でさえ、酷く罵倒され、人格否定までする始末。

     さらに、ネチネチと何時間も続く異常なまでの粘着質な嫌味や、何日も無視され続けるなどの精神的暴力に疲弊し、徐々にうつ症状に陥った奥さんの様子に気付いたのは、葛岡さんのおばあちゃんでした。

    「ねえ~、松武さん。最近、藤田さんの奥さん、どうしたのかしらね~?」

    「藤田さん、どうかしました?」

    「元気がなくて、げっそりしてるんだよね。私の気のせいかしら~?」

     さすがは人間モニタリングが生きがいだけあり、その観察眼に狂いはありませんでした。平静を装ってはいましたが、よくよく見ると確かにおばあちゃんの指摘通り、ここ最近の藤田さんは、病的にやつれた感がありました。

     普段は何かと周囲にご迷惑を掛けることが多いこのモニタリングも、大事なポイントを見逃さないことから、ごく稀に役に立つこともあるため、侮れません。

     それはともかく、藤田さんに何かが起こっていることは確かです。

     そこで、民生委員でもあり、コミュニティー内で絶大な信頼を得ている百合原さんはじめ、いつも親しくしているメンバーにも相談したところ、藤田さんの両隣のお宅から、有力な情報をゲットしました。

     最近の住宅は気密性が高いため、会話の内容までは不明ですが、しばしば藤田さん宅から、ご主人が強い口調で何かを言っているような声が延々と聞こえ、それに対して奥さんの声はほとんどしないらしく、特にこのひと月ほどは、ほぼ毎晩なのだとか。

     それが何を意味するのか、百合原さんはかつてご自身が関わった経験で、他の人は知識として、私は実体験として、すぐに察知しました。そして、藤田さんの状況から、早急に手を差し伸べなければならないほど、事態が切迫していることも。



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    嫁姑 episode.4 ~墓守~  

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    ************
    あらすじ

    いつの時代でも、世界中どこにでも、
    永久不滅の難題である『嫁姑』問題。
    今回は、結婚相手として紹介した女性を、酷い言葉で罵倒し、
    妊娠していた彼女に手切れ金を支払って
    子供を堕胎し別れるように迫る母親。
    十数年後、息子が他界し、あの時別れさせた彼女が、
    子供を産んでいたことを知るのですが…

    ************

    嫁姑 episode.4 ~墓守~

     屋外は30度を軽く超える真夏日。日本に住む限り、夏の暑さは宿命として、受け入れざるを得ないと頭では理解しても、こう連日暑い日が続くと、うんざりします。

     とはいっても、空調された室内は快適な気温と湿度に保たれ、すやすやと気持ちよさそうに眠る、我が家の2匹の猫たち。

     屋外に出ない限り、暑い思いをすることもないのですが、つい口癖のように『暑い』を連発してしまうのが、人間の心理なのでしょう。

     まどろむ猫たちを見ているうちに、私も眠気を感じ、ついうとうとしかかったとき、不意に鳴った電話の着信音で現実に引き戻されました。

     電話の主は、かつて勤めていた会社の先輩だった静花さん。今は結婚されて、苗字は穂高さんになっています。

     我が家がこの住宅地にマイホームを建てていた丁度その頃、静花さんご一家もマイホームを建築中で、その距離わずか2ブロック離れた場所という偶然。

     会社を退職してからも、静花さんはじめ、他の同僚たちとの交流は続いており、私が出した転居のお知らせを見た静花さんが、直接我が家を訪問して、初めてご近所さんになっていたことを知りました。

     現在も同じ部署で勤務している静花さん。当時、出産後も退職せずお仕事を続けたパイオニアでもあり、今ではその実力と資格を考慮され、主任さんに昇格。

     ですが、一般職で、結婚・出産をした彼女がここまで来るには、並大抵のことではなかったのも事実です。

     静花さんからの用件は、明日からご家族で旅行に行くので、3日間お留守にされるとのこと。

    「電話で失礼。留守中、もし何かあったら、宜しくね」

    「了解~! 安心して、楽しんで来てね」

     特に決まりというわけではないのですが、私が住んでいるご近所の皆さんは、1泊以上でお出かけする際、周囲や、仲の良いお宅に一声を掛ける習慣がありました。

     その理由の一つは、緊急の回覧板がストップする可能性への配慮と、もう一つは、防犯という観点から。

     例えば、偶発的に開いてしまった門扉や、お庭の中で倒れたものが何日も放置されていると、留守と気付かれ、空き巣に入られる可能性が高くなります。

     犯罪者は、そういう部分をよく観察しているといいますので、それに気付いた誰かが、その対処をするだけでも、防犯に繋がるのです。

     静花さんが、あえて電話で連絡してきたのには、猛暑以外にも理由がありました。それは、葛岡さんのおばあちゃんです。

     以前、お向かいの萩澤さんが旅行中でお留守だったときのこと。偶然外で出会ったおばあちゃんが、ご近所中に響き渡るような大きな声でおっしゃいました。

    「あ、松武さ~ん! うちの嫁さんから聞いたんだけど、萩澤さんとこって、一昨日から旅行に行かれてるんだってね~。4泊5日らしいから、帰ってくるのは明後日かね~?」

     ひえぇぇぇぇぇぇ~~~!!!!

     思わず、おばあちゃんを自宅庭の端っこまで引っ張り込み、小さな声で、かつ、きつい口調で注意しました。

    「そんな大きな声で言っちゃ、ダメじゃないですか。もし、誰かに聞かれたら、どうするんですか」

    「何で? 萩澤さんが旅行へ行ってることは、ご近所の皆さん知ってるでしょ?」

    「だから、ご近所の皆さんが知ってる分には良いんです。問題は、もし物陰にひそんだ泥棒さんに聞かれでもしたら、ってことです」

     その言葉に、ようやく事の重大さが理解出来たおばあちゃん。思わず両手で口を押さえても、後の祭りです。幸い、ご一家が旅行から戻られるまで何事もありませんでしたが、その間、結構気をもみました。

     他にも、誰かに尋ねられれば、自分が知っていることなら、本人の許可なく、住所や電話番号、家族構成、お勤め先などといった個人情報を、勝手に教えてしまう癖がありました。

     勿論、本人に悪気はなく、かつてはそれが普通だった時代もあり、当時の習慣が抜けないのでしょうが、事と次第によっては、大変な事件に発展したり、おばあちゃん自身が訴えられる可能性もあるご時世ですから、こちらも、色んな意味で気をもむところです。

    「ですからね、葛岡さんに知っておいて頂くのは、むしろ皆さん、心強いと思うんです。いつも、町内のことをとても気にかけてくださっているんですから。ただ、世の中には悪い人もいますから、話す時は、気を付けないと」

     本心では、もっと強く言いたい気持ちを抑えながら、あまりおばあちゃんのプライドを傷つけないよう、言葉を選びながら忠告しました。

     それに気を良くしたおばあちゃんは、嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、

    「ああ、そうだね~! 私は耳が遠くて、どうしても声が大きくなっちゃうから、気を付けないとね~!」

     確かに、声が大きいのは否定しませんが、問題の根本はそこではないことには、気が付かないおばあちゃん。それとも、気付かないふりをしているのか、真実はさだかではありませんが。

     耳が遠いといいながら、余計なことはすべて聞き通せる地獄耳の持ち主。その真偽を確かめず、吹聴するという悪い癖があることも周知の事実。彼女に情報が渡ることは、スピーカーの前で内緒話をするのも同然です。

     そんなこんなで、秘密の連絡事項は、電話やメールでするのが、恒例になっていました。本人的には確認のつもりでも、もしまた、大声で暴露されては困りますので。

     数日後、旅行から戻った静花さんが、留守中の御礼にと、お土産を持って遊びに来てくれました。旅行先は、毎年恒例の北海道。いつも、限定品の特産物やスイーツなど、たくさん購入して、我が家におすそ分けして下さいます。

     彼女とのお付き合いは、私が勤務していた会社の不動産部に配属になったときからですから、かれこれ14年になりますが、静花さんご夫妻と、私たちかつての同僚は、ある大きな秘密を共有していました。

     それはまだ、長女の莉帆ちゃんが生まれる前のこと。彼女の出生に関して、出来れば彼女だけには知られたくない事実でもありました。



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    責任 コンパニオン・アニマル episode.3  

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    あらすじ

    住宅密集地でペットと暮らすには、
    いろいろと注意することが必要ですが、
    ペットの安全に配慮するのは、飼い主にとって、
    最低限かつ最大限の責任です。
    思わぬ危険は、お家の中にも隠れているものですから。

    ************

    責任 コンパニオン・アニマル episode.3

     平日の午前9時半だというのに、たった今、車で戻って来られたご様子の葛岡さんの奥さん。

     急いで自宅カーポートに駐車し、後部座席から、ケージに入れられた葛岡家の3にゃんの長男坊、白黒バイカラーのおりべくんを運び出していました。

    「おはよう。どうしたの、こんな時間に? おりちゃん、病院だった?」

    「うん、今終わって、帰って来たとこ。朝一番で、診察してもらってね」

    「どうかした?」

    「それが、聞いてよ!」

     昨日の夜、葛岡さんがお仕事から帰宅すると、いつもダッシュで玄関までお迎えに来る3にゃんのうち、おりべくんの姿だけがなかったそうで、帰宅していた長男の柊くんによれば、夕方からお腹を壊しているらしく、何度もおトイレを往復して、元気がありません。

     長女のいまりちゃん(三毛)と、次男のかきえもんくん(茶トラ)は、いつも通りなのに、なぜおりべくんだけが、と不思議に思っていたのですが、その原因はすぐに発覚しました。

     おばあちゃんが、おやつを食べようとしてミルクを出した際、3にゃんにおねだりされ、軽い気持ちでおすそ分けしたのだそうです。猫たちのお水の器が空になっていたので、給水しようとした柊君が発見し、追及したところ、白状しました。

     猫には、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素がありませんので、基本的には、あまり与えないほうが良いとされています。ただ、これには個体差があり、いまりちゃんや、かきえもんくんのように、全く平気な子もいて、あくまで、あまり大量に与えなければ問題はないのです、普通は。

     ところが、おりべくんの場合、牛乳で激しくお腹を壊す体質のようで、以前にも同様のことがあって以来、葛岡家ではミルク禁止令が敷かれていたのですが、奥さんや柊君の留守中に、おばあちゃんが与えてしまったのです。

     おばあちゃんのお話では、水飲み用の器に半分くらい、おそらく150㏄ほどを注いで、それを3にゃん一緒に顔を突っ込んで飲んでいたらしいので、1にゃんあたり50㏄ほどを飲んだことに。

     結果、おりべくんだけが激しい下痢で脱水症状を起こしかけ、朝一番で掛かり付けの動物病院に行き、輸液してもらって来たのだそうです。

    「猫たちには、勝手に食べ物を与えないように、あれだけきつく言ってるのに、駄目なんだから」

    「分かってたのに、どうしてそんなことしたの?」

    「『欲しそうにしてたから、可哀想だと思ってあげた』って、あげるほうがどんだけ可哀想なのか、考えたら分かるでしょうよね!」

    「困ったものだよね」

    「それで、お願いがあるんだけど」

     おばあちゃんには怒り心頭の葛岡さん、おりべくんの容体は心配ですが、会社を休むわけにも行かず、このままお仕事へ行くそうで、もしまたおりべくんに異変があれば、すぐに私に言うように、おばあちゃんに(きつく)言ってあるとのことで、私も快く了解し、後ろ髪引かれながらも出勤する葛岡さんをお見送りしました。

     彼女の車が完全に見えなくなったのを見計らっていたように、それまで息を潜めていたおばあちゃんが、ご自宅から出ていらっしゃいました。

    「おはよう、松武さん」

    「あ、おはようございます。おりちゃん、大変でしたね」

    「もうねえ、嫁さんも孫も、心配しすぎなのよ~。たかが猫が牛乳飲んでお腹壊したくらいで、ね~」

     その言葉に、あまり反省していないことが伝わってきます。葛岡さん(お嫁さん)も柊君もいないのを良いことに、おばあちゃんの独壇場が始まる気配。

    「だいたい、猫には人間の保険が効かないから、病院代だって馬鹿にならないのに、そんなことでいちいち連れてったら、お金の無駄遣いでしょ~」

    「あら、お支払いはおばあちゃんが?」

    「ん? それは、まあ、家計費から出てるわけだしね~。おまけに、会社を休んでまでって」

    「お休み出来ないから、朝一番で通院して、遅れて出勤されたんじゃないですか」

    「それに、うちは3匹もいるんだから、別に1匹くらい減ったってね~。松武さんだって、そう思うでしょ~?」

     なぜ、お嫁さんがいないと、それほど強気に出られるのか、理解不能な部分はありますが、彼女に事の重大性、重要性を認識させるのはおそらく不可能。

     得意げに自己主張をしているうちに、なぜか気持ちが高ぶり、それが正しいと信じ込んでしまう癖があるパーソナリティーの持ち主でもあり、あまり調子に乗って、また同じことを繰り返させるわけには参りません。

     ならば、二度としないように、釘を刺すだけです。

    「分かりました~。今おっしゃったこと、そのままメールで奥さんにお伝えしますね~。『猫なんかに医療費払うの勿体ないから、1匹くらい減ったってね~』と」

    「あ~、そういえば忘れるとこだったわ。えっと、あれはどうだったかな~、そうそう、あれをこうしておかないと、あ~忙しいわ」

     すべて『こそあど』で独り言を呟きながら、自宅に向かってフェードアウトして行ったおばあちゃん。根本的な解決にはなりませんが、効果は覿面です。題して、『天敵療法』。姑の天敵、それは言わずもがな『嫁』ですから。

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    category: 作品紹介

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    私立 藍玉女学園 2 ~調理実習~  

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    ************
    あらすじ

    幼稚園から大学までを擁する『私立 藍玉女学園』。
    創立100年を超え、厳格な女子教育で定評がある主人公の母校、
    中でも家政学部のカリキュラムは充実しており、
    中・高等科生にも徹底した教育が施されます。
    自分の家での『食』のあり方が、
    世間とはかなり乖離していたことに気が付き…


    ************



    私立 藍玉女学園 2 ~調理実習~


     本日は、週末の土曜日。

     朝のお庭の水遣りをしていますと、普段とは違う顔触れが、それぞれのお宅のお庭に、ちらほら。平日はお仕事に出かけている方も、悠々自適に、あるいは切羽詰まって、ご自宅のお手入れに勤しんでいます。

     私が住むこの街は、マスの目状に整然と区切られた分譲地に、膨大な数の戸建て住宅が立ち並び、さらなる造成と分譲により、その規模を増殖し続けている、巨大な新興住宅地。

     住民の大半は、マイホームを新築し、転入して来られたファミリーで、我が家もそうしたうちの一軒です。

     人生で、最も高額なお買い物の一つとされる『マイホーム』、それだけに、手に入れた人間にすれば、かなりのウェイトを占めるというもの。

     休日になると、こうして自宅やお庭のメンテナンスに励むのには、『家』という外箱を大切にしていることは勿論ですが、むしろそれ以上に、『家庭』という内側部分に重きを置いている気がします。

     どんなに立派なお家に住んでいても、住む人の内面や、家庭内がボロボロでは、せっかくのお家が台無しですし、外観が『ごみ屋敷』的な荒れ放題だと、逆に人間性を疑われてしまいますので。

     自宅建物の内も外も、それに係る人間関係の内も外も、住宅密集地に住むというのは、何かとバランスが大切です。

     普段と違うメンバーが揃えば、必然的に始まる井戸端会議。他愛ない出来事でも、主婦にとって話題には事欠かず、まあ、盛り上がること盛り上がること。

     半強制的に、家庭内労働に駆り出されたご主人たちは、これ幸いと、屋内へ退避する人、理不尽な状況にも、黙々と作業を続ける人、様々で、その辺りからも、各ご家庭内での力関係が垣間見られたりも致します。

     さて、この日、最も盛り上がったテーマは、『食』について。言わずもがな、三大欲望の一つであり、人が生きて行く上で、絶対に欠かすことの出来ない、重要なものです。

     特に、日々の食卓を預かる、私たち主婦にとって、楽しみである反面、最も頭を悩ませるものでもあり、費用、嗜好、健康管理、ダイエット、腕前、レパートリー、その他諸々、一筋縄では行かない、強敵。

     まして、家族間でも年代が違えば、さらにその手間も悩みも激増し、手を抜けば文句を言われ、手を掛ければどんどんつけあがり、苦労を通り越して、苦痛にさえ感じる方も少なくありません。

    「うちは、中高大の男3人でしょ。食べる量が、半端ないのよ。だから、外食するのも、専ら100均の回転寿司で、出掛ける前に、必ずカップ麺を食べさせてからじゃないと無理」

    「何で?」「これから食べるのに?」

    「そうでもしないと、一度に、万札が何枚も飛んでゆくことになるのよね。目の前に積み上がるお皿の数とスピードっていったら、もう、地球人の領域を超えてるって感じ」

    「へえ~!」「男の子は、凄いわね~」

    「まあ、食べること自体はいいの、成長期だから。でもね、何が腹立つって、それだけ食べて、暇があればぐうぐう寝てるくせに、全然太らないって、どーゆーこと?? って言いたくなる」

    「うちは逆。お年頃の女の子だから、ちっとも食べてくれなくて、それ以上痩せたら、マジで餓死するぞって言いたくなるわ」

    「あるある~! 女の子って、一度は通る道だよね。でも、どんなに頑張っても、30超えた頃から、徐々に横に成長し始めるんだけどね~」

    「いわゆる『第三次成長期』ってやつだよね」

    「うちは、小中学生と老人だから、作り分けないと駄目なのよ。おまけに、旦那ときたら、中学生に合わせると『くどい』って言うし、老人に合わせれば『物足りない』って言うし」

    「中年用も作ってるの?」

    「まさか。私に三種類も作れってか!? ってキレたら、何も言わなくなった」

    「うちは、下が最近離乳食始めたばかりで、食べないんだ、これが。すっごい時間かけて作ったお粥なのに、口に入れても、全部ベーって吐き出しちゃうの。上は素直に何でも食べてくれたから、ギャップに苦しんでる」

    「個人差あるから」「焦らない、比べない」

    「でもね、問題は上。豚とか牛とか鶏とかお魚とか、食品の原型が分かってないっていうの? 『柿』と『牡蠣』みたいに、同じ名前で別物だと思ってたらしくて、『豚肉は豚さんなんだよ』って教えたら、ショックを受けたみたいで、食べなくなっちゃって。これって、教えるのが遅かったの? それとも、早かった?」

    「早い遅いっていうより、デリケートな子なら、さらっと流しながら、自然に受け入れられるタイミングを待った方がいいかもよ?」

    「大人だって、あんまり深く考えると、食べにくくなるものね」

    「こないだね、うちの主人、健康診断受けて、血圧と中性脂肪その他諸々イエローカードで、食事制限が掛かったの」

    「あちゃー」「マジ!?」「大変じゃない!」

    「もともと、主人の実家がかなり濃い味付けで、前から、お料理にやたらとお醤油とか掛けるような人だったのね。これって、絶対に生活習慣から来てるよね?」

    「それ! ママンの味って、ときに凶器だよね~!」

    「あるある~!」

    「あとさ、何時間も掛けて作った料理を、ものの10分もしないで、丸飲みみたいに食べられるのも、悲しくならない?」

    「あれは、腹が立つわ」

    「せめて、よく噛んで食べようよ、って言いたくなるよね」

     とまあ、食事に関しての主婦の愚痴は、尽きません。

     我が母校、藍玉女学園は、幼稚園から大学まで擁する女子校で、モットーは、『聡明・勇敢・沈着』。

     創立100年を超える、歴史の長い女子大付属学園で、中でも創設初期から力を入れている家政学部に関しては、教育のカリキュラムは勿論、学園内の設備や備品に至るまで、非常に充実しておりました。

     それを象徴するものの一つが、調理実習です。大小合わせ、10室設置されている実習室は、大きなものでは、数百人分の給食まで実践調理が可能で、また、世界中のほとんどの料理が学べるよう、あらゆる機能を備えています。

     圧巻なのが、学生たちの間で『包丁コレクション』と呼ばれる、包丁専門の保管室です。そこには、世界中のあらゆる種類の包丁が納められ、勿論、それらも使用OK。

     一般家庭で使われている見慣れたものから、まるで刀かと思うくらい巨大なものや、逆に玩具のように小さなものまで、恐ろしいほどの数と種類の包丁が並んでいました。

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    何様たちの宴 episode.2 ~ジェラシー~  

    作品紹介です。
    ※無料で公開しています。お気軽に覗いてみてください。

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    あらすじ

    OL時代、一つ年上の先輩から、嫌がらせを受けていました。
    専務である社長の息子と不倫していた彼女、
    思い通りにならないストレスから、
    ターゲットにされてしまったようで…

    ************


    何様たちの宴 episode.2 ~ジェラシー~

     肉食系女子が市民権を得ている現代。映画やドラマの影響で、既婚者でも、こっそり、あるいは堂々と、不倫をする女性も案外いらっしゃるのだとか。

     メディアからの影響は、人の閾値を低下させるのでしょうか。ここ数年のブームで、身近なところでも、そうした噂を聞くことが増えたような気がします。最近でも、町内の誰それが、不倫がバレて別居するとか、離婚になったとか。

     とはいえ、ここは、日々増殖を続ける巨大な新興住宅地。町内といっても、我が家が在籍する町内会には5丁目まであり、各丁はそれぞれ10班に分かれ、1班は10~15軒で構成されています。

     よって『町内』だけでも、ざっと600軒以上のお宅が存在しますので、顔と名前が一致しない、さらには、顔も、名前すらも存じ上げない方のほうが、大多数なのです。

    「ねぇ~、松武さん、4丁目の佐藤さん、離婚するんだって~。知ってた~?」

     朝、ごみ出しで顔を合わせた時、斜め向かいの葛岡さんのおばあちゃんに、そう話しかけられました。

    「いえ、知りませんけど」

    「あそこの奥さん、不倫してたらしくて、旦那さんも不倫したのが分かったらしいのよ~」

    「そうなんですか~」

     いつも感心するのは、葛岡さんのおばあちゃんの情報収集能力。いったいどこから仕入れてくるのか、常にアンテナを張り巡らせ、多くの速報をゲットしています。

     とにかく、他人様のことに関して、並々ならぬ興味がおありのようで、600軒以上が在籍する町内会のお宅の、どこの誰といった個人の大半を網羅しているという、御年に見合わぬCP並みの記憶力。しかも、転入出の際の、更新機能付きという、ハイスペックでもあります。

     ですが、『佐藤さん』といわれても、町内には同じ苗字のお宅が何軒もありますので、私のような凡人には、交流のある方か、余程インパクトのある方でもない限り、すぐには(あるいはまるっきり)ピンとこないほうが多いのです。

     そうした『人』を記憶することに関して、並外れた才能を持っている方というのは、時々存在し、私が知る限り、町内にも3名ほどいらっしゃいました。

     1人は言わずもがな、葛岡さんのおばあちゃん。

     2人目は、石ノ森酒店の大奥さん。とても繁盛している個人経営の酒屋さんなのですが、たった一度でも、来店したお客さんの顔なら、何年経っても、すべて覚えているという特技の持ち主。

     周囲には、価格の安いフランチャイズの酒屋さんも多数ありますが、石ノ森酒店には、圧倒的にリピーター客が多いのも、大奥さんのおかげだといわれております。勿論、我が家もリピーターの一軒。

     そして、3人目は、いつも親しくしている百合原さん。彼女は人脈が広く、人望も厚いことから、沢山の方と親しく交流していて、確かな情報網をもっていらっしゃいます。昨年からは民生委員になられたのだとか。

     ただ、それぞれが持っている情報の扱い方に関しては、三人三様。

     おばあちゃんの情報アンテナは、感度は高いのですが、精度が低いのが難点。誰より早く情報をゲットしても、内容がいい加減だったりする上、その不確かな情報を広めてしまったりと、結構迷惑している方もいらっしゃるようです。

     石ノ森酒店の大奥さんの場合、お客さんの情報に関しては、決して口外しないというコンプライアンスの塊。そこから引き出すことは、先ず以って不可能ですが、そこがまた、お店が繁盛している…(以下略)…。

     百合原さんの場合、かなり高精度な情報な上、情報の流出の是非を、ご自身が判断して下さるので、聞く側としてはとても楽です。さらに、内容によっては、伝達する相手も、ある程度選んでいらっしゃるようで。

     膨大な人口を抱える新興住宅地、自分のコミュニティーから少し外れれば、ほとんど知らない方ばかりですから、不用意な噂が一人歩きすることの怖さは、確かにあります。

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    category: 作品紹介

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    嫁姑 episode.3 ~嫡男~  

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    あらすじ

    いつの時代でも、世界中どこにでも、
    永久不滅の難題である『嫁姑』問題。
    今回は、男の子を産むことが偉いと勘違いしている、
    時代遅れなお姑さん。
    立て続けに女の子が生まれたお嫁さんに、
    暴言を吐くのですが…

    ************


    嫁姑 episode.3 ~嫡男~

     この街に家を建て、住み始めてから、それまでと変わったことの一つが、町内会に加入したことでした。

     引っ越した当日、搬入した荷物の開封をするより前に、まずは、ご近所へのご挨拶回り。その際、伺った班長さんのお宅で、町内会への加入の打診を受けました。

     加入は強制ではなく、住民の任意で、ごく稀に拒む方もいらっしゃるようですが、99.9%のお宅が加入されていらっしゃるとのことで、勿論、即答で『入会希望』と返答しました。

     以前住んでいたのは集合住宅で、個別で町内会への加入資格がなく、また、総戸数8世帯のコーポでしたので、マンションのように入居者組合もなく、地域から孤立しているような感じがありました。

     ですから、町内会へ加入したことは、ようやく我が家も、一つの世帯と認められた気がして、嬉しかったものでした。

     町内会員になって、初めて回覧板を受け取った時は、ちょっと感動しました。

     お向かいの萩澤さんから手渡された、回覧板のチェック欄には、我が家の名前も記載されています。

    「回覧する順番は、うちから松武さんで、次は葛岡さんへ回してください。後、受け取ったら、このチェック欄に日付を入れて下さいね」

    「はい、分かりました」

     そうした何気ない、当たり前のことも、嬉しくて堪らない時期。さっそく、今教えて頂いたとおりに、チェック欄に日付を入れました。

     お昼間、萩澤さんはパートをされていて、その日は遅番で、我が家が回覧板を受け取ったのは、夜7時過ぎでした。

     丁度、夕食の準備中だったり、お食事中かも知れない時間帯。せっかくなので、夫にも、初めての回覧板を見せたいと思い、翌朝になってから、葛岡さん宅にお届けに上がりました。

     インターホンを鳴らすと、すぐさま、玄関から出ていらっしゃったおばあちゃん。お昼間は、奥さんはお仕事、長男の柊くんも学校で、おばあちゃんおひとりです。

    「おはようございます。回覧板をお届けに参りました」

    「ああ、ごくろう様」

     そう言って、今、私が手渡した回覧板のチェック欄を見ると、小さく溜め息をついて、言いました。

    「あのねえ、松武さん。回覧板は受け取ったら、その日の内に、回してもらえないかしらねぇ? これ、受け取ったのは、昨日なんでしょ?」

    「あ、すみません! ちょうど、お夕食時でしたし、あまり遅い時間にお持ちしてもいけないと思って…」

    「うちはね、嫁さんが働いてるから、夜戻ってからしか、見れないんだわ。夜のうちに届けてもらわないと、次に回すのがどんどん遅くなるでしょ?」

     確かに、おばあちゃんのおっしゃる通り。夕べのうちに回しておけば、今朝一番で、葛岡さんは次のお宅へ回すことが出来ました。

     私が余計な気を遣ったばかりに、皆さんの回覧時間をロスしてしまった、ということになるのです。

    「気が付かなくて、すみませんでした。次からは、すぐに回しますね」

    「あなたは専業主婦で、一日中家で暇してるからいいけど、仕事してて忙しい人は、そういうわけにはいかないんだからね」

     確かに、私は専業主婦ですが、別に、一日中家で暇してるわけではありませんし、聞き方によっては、葛岡さんの奥さんの発言と取られかねませんので、本人不在の間に、亀裂が生じる可能性さえあります。

     まあ、これもひとえに、おばあちゃんのキャラクターですから、いちいち言葉尻に反応することはせず、この日は、にっこり笑って、その場を引き取りました。



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    はとぽっぽ ~黄泉からの代弁者~ 1  

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    あらすじ

    幼い子供の時期にだけ、その姿を見ることが出来た、
    女の子の姿をした物の怪。
    その姿を見ることが出来た人間を守るとされています。
    まっさらな造成地にも、刻まれた歴史があり、
    古い地名には、その地に纏わる由来が
    隠されていることもあるのです。

    ************


    はとぽっぽ ~黄泉からの代弁者~ 1

     夏になると、やたらと増えるホラー系の番組。あれ、正直言って、苦手です。

     そうとは知らずに、うっかり見てしまったら最後。途中でやめると、自分の中で勝手に想像が膨らみ、とてつもなく怖いものになってしまうので、最後まで見るハメに。

     最後まで見ても、結局は怖くて、何日もの間、びくびくドキドキしながら過ごさなければならないという、何ともまあ、チキンハートな人間なのです。

     私が住む、この新興住宅地が造られたのは、元は荒れ野のような場所。現在は『宅地』になっていますが、造成前の地目は『荒地』でした。

     造成後、新しい地名に改名された場所もありますが、古くからの名前をそのまま受け継いだり、元の地名の一部が使われている場所も、多く残されました。

     古い地名には、かつてそこがどんな場所だったかを知るヒントが隠されていて、『沢』『沼』『淵』などのさんずいが付く地名は、もともと水に由来するエリアのため、脆弱な地盤といわれ、『岳』『峰』『尾』などが付く地名は、地盤が固いといわれるなど、土地を購入する際には、重要なポイントになります。

     また、『宮』や『神』のつく地名には、信仰に関わる場所も多く、現在の名称の一部に、その文字を引き継ぐこの住宅地も、遥か昔、そうした場所だったらしいと、古い文書に記載があるのだとか。

     それが原因かは分かりませんが、サイキックやスピリチュアル、ホラー体験をした、という方のお話も、ご近所では結構多くお聞きします。

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